パーソナルモビリティ(シニアカー、特定小型原動機付自転車など)の普及に向けたまちづくりについて
質問事項2に入ります。質問事項2、パーソナルモビリティ(シニアカー、特定小型原動機付自転車など)の普及に向けたまちづくりについてお伺いをしていきます。
国の施策や長期的な都市計画に関わる質問となりますので、まずはテーブルの上に上げていただきたいという思いで質問をさせていただきます。もう本当に提案型の質問となっております。
まず、ペダルの踏み間違いや疾病による意識消失などを原因にした自動車の暴走事故により、多くの悲劇が起こりました。事故を起こした者の多くが高齢であったことから、高齢者の運転免許証の返納が進められてきました。本市でも高齢者運転免許自主返納支援制度として、70歳以上の市民の方を対象に2,000円相当の回数券や優待券あるいは交通安全グッズを交付しているところです。しかし、移動手段を失うことにより活動範囲の狭小化や自由に移動することができないなどの問題が生じています。また、高齢者にとっては外出の機会が減り、社会参加の機会が減ることで、質問事項1でお尋ねしたようなフレイルリスクが上がってしまうおそれもあります。
そこで、近年脚光を浴びているのが、環境負荷が少なく性能を抑えて安全性を高めたパーソナルモビリティとなります。昨年7月に改正道路交通法が一部施行され、特定小型原動機付自転車、以下、特定小型原付と言います--が法制化され、新たな移動手段として期待をされています。特定小型原付はウインカーなどの保安基準を満たした上で速度が時速20キロメートル以下しか出せないように制限される代わりに、16歳以上であれば免許がなくても利用することができるものです。一般には電動キックボードへのなじみが深いかと思いますが、自転車型のものや三輪、四輪タイプの製品も発売されてきており、その安定性と免許は不要であることから高齢者の自動車運転免許証返納後の新たな移動手段として期待をされています。ちなみに四輪の特定小型原動機付自転車というのはこんな感じで、非常にスタイルもよくて、シニアカーだとどうしても高齢者というイメージがついてしまうんですが、このような感じで格好のいいものも出ているし、これはまだ開発中のようなんですが、屋根つきの特定小型原付なんかも出てきているような状況です。電気で動き、重量も軽いことから、環境負荷が低いとされ、環境対策としても注目をされています。町なかは車中心から人中心へと移動環境についての考え方が変わりつつある中、今後の移動に向けた環境づくりについてお伺いをしていきます。
⑴ 運転免許証返納後の移動手段について
◆1番(勝股修二) それでは、小項目(1)に入ります。
冒頭でお伝えしたとおり高齢者の運転免許証の返納が進められてきましたが、運転免許を返納したとしても、生活のために買物などで移動する必要があります。また、その人がその人らしく暮らしていくために、余暇などに外出をするなど様々な移動を行わなければなりません。
そこで、本市としては運転免許証を返納した高齢者がどのような手段で移動すると考えているのか。運転免許証返納後の移動手段についてお伺いをします。
◎都市整備部長(伊藤秀記) お答えします。
運転免許証を返納した後の移動手段といたしましては、市営バスあさぴー号等の公共交通の利用が挙げられます。自家用車と同様の利便性をもたらすのは難しいかと思いますが、本市では市営バスあさぴー号と既存の公共交通が補完し合い交通空白地を解消しているため、これらの公共交通を利用することにより、主な目的地となる病院や商業施設等の生活利便施設へ移動できる環境にあるとは考えております。一方、様々な御事情により移動に不安を抱える方に対する取組の必要性も高まっておりますので、より一層誰もが移動しやすい環境づくりを目指し、市営バスあさぴー号の利便性向上や、ラストワンマイル対策などの検討を引き続き進めているところでございます。
以上でございます。
◆1番(勝股修二) ありがとうございます。
移動手段は確保できているということですが、さらに公共交通の利便性向上とラストワンマイル対策などについての検討を進めていただいているということです。交通基本計画によると、住居から500メートル以内であるように停留所を設置されているということですが、足腰が弱ってしまった方にとっては少々遠いようにも感じますし、市営バスは1時間に一本の運行となりますので、時間的な交通空白というのも生じています。この点は既に課題として御認識いただいていると思います。
⑵ 歩行者やパーソナルモビリティの移動環境の整備について
◆1番(勝股修二) それでは、小項目(2)に入っていきます。
先日の議会報告会において都市環境委員会で視察を行ったシェアサイクルについて報告を行いましたが、そのとき市民の方からいただいた御意見として、市内の道は自転車が安全に通れる環境ではないと、シェアサイクル導入という話どころではないということでした。数名の市民の御意見ではありますが、確かに市内の生活道路には狭いところもあり、歩行者空間を確保できていない道も多々あると思います。とはいっても、道路周辺の建物を移動してその土地を市が買い取るなど大々的に行えるかというと現実的ではないということも理解しております。幹線道路でも、特に城山街道においては歩道が狭く、街路樹がさらに狭くしてところどころに車入り口用の傾斜があるものですから、歩行者扱いであるシニアカーや電動車椅子などが安全に通行できる環境とはなっていません。また、幹線道路は走行速度が速いために、時速20キロメートルを上限とする特定小型原付で車道を走ろうと思うと、かなりの恐怖心を感じると予想されます。
そこで、小項目(2)、歩行者やパーソナルモビリティの移動環境の整備について、現状においての整備状況をお伺いします。
◎都市整備部長(伊藤秀記) お答えします。
本市では尾張旭市交通基本計画において、「快適な移動環境が質の高い暮らしを支えるまち」を都市交通の未来像として掲げ各事業を推進しております。具体的には、安全・安心・円滑な移動環境を形成する取組として、側溝に蓋をして歩行者空間を確保するあんしん歩行エリア整備事業や、面的な速度規制により交通安全対策を実施するゾーン30の指定、歩道の段差や急勾配の解消といったバリアフリー整備のほか、自転車走行空間の整備、幅員の狭い道路の拡幅整備等を実施しているところでございます。
本市といたしましても、歩行者や自転車、シニアカーをはじめとするパーソナルモビリティの利用等様々な方が安心して快適に移動できる交通基盤の整備は重要であると考えておりますので、引き続き各種事業を進めてまいります。
以上でございます。
◆1番(勝股修二) ありがとうございます。
改めて市として各種事業を進めていただいているということを確認をさせていただきました。しかし、現状の移動環境や今後の具体的な整備計画を拝見しますと、まだまだ自動車中心の考えからは抜け切れていない印象を感じております。
⑶ 自動車中心に形成されてきた移動空間の再構成について
◆1番(勝股修二) そこで、ここからは今後の交通環境の形成について、これまでの考えにとらわれずに質問をしていきたいと思います。
小項目(3)に移ります。
これまでの都市計画においては、自動車の優先度をかなり高めに設定して道路環境を整備してきたと拝察します。確かに市内における自動車の利便性は非常によくて、もう本当に片側2車線道路というのが市内にあちらこちらに整備をされていて、他市と比較すると渋滞というのがかなり少ない状況です。慢性的に渋滞しているのは三郷駅、晴丘交差点、印場西交差点周辺の3か所ぐらいかなとも思います。ほかの市町に車で出かけることも多いですが、ラッシュ時の渋滞は尾張旭市内とは比較にならないと感じます。本当に駅前をちょっと行こうと思ったら30分動けないとかというところもありますので、そういうところと比較するともう本当に天国のような交通事情だと思います。現在市内においての自動車による移動の快適さを享受できているのは先輩方の大変たゆまぬ努力によるものであると感謝をしております。
しかし、状況は変わりつつあります。70キログラムの人を1人運ぶのに1トン以上の自動車を動かすなど、エネルギー効率が非常に悪く、環境への負荷の高さからライドシェアや小型モビリティへの移行が模索をされています。予想以上に早く進む少子高齢化により、運転免許証の返納を求められる年代の方の比率がどんどんと上がっていくと予想をされています。若者の車離れと言われるように、30歳未満の単身勤労世帯の自動車普及率が低下をしてきています。自動運転化が進めば自家用車を保有をしておく必要すらなくなる可能性もあります。これらの要因により自動車の交通量が想定より少なくなる可能性があるのではないでしょうか。そうであるならば、他市との市境などにおいて片側1車線に狭まってしまう、市内のみの片側2車線道路が適切であるのか。自転車や新たなモビリティが走行時に恐怖を感じるような現状の移動空間はこのままにしておいてよいのかなどを検討しておく必要があると考えます。
このような状況において参考にしておくべき1事例を紹介をさせていただきます。
交通先進国であるドイツのフライブルク市において、片側2車線道路の自動車用の車線をあえて片側1車線のみにして残りの車線は歩行者や自転車の通行空間に転用する取組というのが1987年頃よりなされてきました。数年前までは実際にドイツに住まわれていた方のお話を聞くと、現在でも道路の一方通行化や車線の制限など、自動車の空間をあえて狭めていくような取組が進んでいるようです。このように、あえて自動車の空間を狭くして、歩行者や自転車、パーソナルモビリティの移動空間を確保するような取組についてはいかが考えますでしょうか。
小項目(3)、自動車中心に形成されてきた移動空間の再構成についてお伺いをします。
◎都市整備部長(伊藤秀記) お答えします。
道路の車線数や幅員等につきましては、基本的には計画交通量等を踏まえて必要な道路の構成要素が計画されることとなります。本市ではこれまで当該計画に合わせた道路整備を進めてきておりますが、現在の道路利用状況においては、御提案のようなあえて車線数を減らし、歩行者や自転車、パーソナルモビリティの移動空間を確保するような取組につきましては困難な状況にあります。
しかしながら、将来において交通量の減少等道路利用状況の変化が確認されたときには、地域の実情に応じた道路空間の配分の見直し等を研究する必要があると考えております。
以上でございます。
◆1番(勝股修二) ありがとうございます。
現状では困難な状況にあることをお聞かせいただきました。確かに自動車の車線数を減らすのは市民の皆様との合意形成など様々な課題がありますので、私自身一朝一夕でなるとは考えておりません。要望として、状況が変化したあるいは変化することが予測されたときには、早急に研究できるような準備をお願いいたします。
⑷ ゾーン20について
◆1番(勝股修二) それでは、小項目(4)に移ります。
本市の生活道路整備基本計画や交通基本計画において、安全な移動環境を形成するために、ゾーン30プラスを整備する計画がありますが、東京大学公共政策大学院交通・観光政策研究ユニットの特任准教授である三重野真代氏は、残念なことに日本の取組は欧州と比べると周回遅れのガラパゴス状態と言わざるを得ないとし、歩道と車道が分かれていないような狭隘な道路は、欧州では時速20キロのゾーン20や歩行者専用空間に指定すべきとされていると、ブログで述べておられます。
道路を暮らしのための空間へ戻すために、欧州各国では生活道路を低速化し、道路の静音化の取組がなされています。国内では「歩くまち京都」の姉小路において、地元住民が中心になってゾーン20が設置されていたりもします。ゾーン30は事故が起こっても死亡しにくいということでの速度設定となっていると思いますが、ゾーン20についてはそれぞれがアイコンタクトを取れるという設定で20キロということになります。一つの空間に人と車が共存して、より人と人とのつながりを重視した設定であるとも言えます。
自動車中心であるという考えが根強い現状において、さらなる低速化はすぐには受け入れ難いことも十分理解していますが、自転車や特定小型原付の速度に合わせ、歩行者ともコミュニケーションを取れるゾーン20についてどのようにお考えか。また、優しいまちを目指して、本市独自の取組として導入することの可否について、小項目(4)としてお伺いをします。
◎市民生活部長(大津公男) お答えします。
現在、本市では市内の一部で制限速度を時速30キロメートル以下とする規制に加え、道路にハンプなどの物理的デバイスを設置することで通行車両に減速や注意を促すゾーン30プラスを地域住民の方々との合意形成を重視しながら導入を進めております。議員に御提案いただきましたゾーン20のように制限速度を20キロメートルまで引き下げれば、さらに歩行者の安全性を高めることが期待できますが、地域にお住まいの方にも大きな環境の変化を強いることになりますので、より慎重に検討すべきと考えます。
また、令和8年9月から生活道路の制限速度を時速30キロメートルに引き下げることが本年7月に閣議決定されていることも踏まえますと、まずは現在導入を進めているゾーン30プラス及び制限速度の時速30キロメートル引下げの効果を検証することが必要と考えますので、現時点ではゾーン20を導入する考えはありません。
以上でございます。
◆1番(勝股修二) ありがとうございます。
まずは、ゾーン30プラスなどの導入に取り組まれるということです。ゾーン20となると、現在の社会通念では地域住民の方との合意形成が非常に困難であるということも分かります。まずは、現在の施策の効果検証を行っていただき、その先に進めるよう御認識いただければと思います。先ほどお伝えしたとおり、ゾーン20は運転者と歩行者がアイコンタクトを取れる速度です。「幸せつむぐ 笑顔あふれる 尾張旭」に非常にマッチする施策だと思いますので、今後の方向性の一つとして御認識いただければと思います。
ただ、ゾーン30プラスへの一つの要望としてなんですが、道路に凸凹をつけるハンプなどの物理的デバイスについていうと、こういう特定小型原付が走るとちょっと危ないんですよね。シニアカーなんかについても結構ガッタンとなりますので、そういうハンプの設置についてなどの物理的デバイスについては、ちょっと御留意いただけたらと思います。
⑸ 特定小型原動機付自転車の将来的な有用性と普及の見通しについて
◆1番(勝股修二) それでは、小項目(5)に移ります。
ここからは、法的には自動車と移動空間を同じにしつつも、自動車と速度差の大きい特定小型原付についてお伺いをします。
現状において本市での特定小型原付の登録台数は17台ということで、まだまだ普及しているとは言えませんが、尾張旭市交通基本計画(改訂版)では基本方針3に、安全・安心・円滑な移動環境の創出の施策⑯において、地域の実情に応じたオンデマンド交通や超小型モビリティなどの新たなモビリティサービスについて、タクシー等既存の公共交通機関の活用を含めて、導入に向けた取組を推進しますとされています。新たなモビリティの一つである高齢者の移動問題や、環境問題を解決する一案となる特定小型原付の今後については、いかがお考えでしょうか。
小項目(5)、特定小型原動機付自転車の将来的な有用性と普及の見通しについてお伺いをします。
◎都市整備部長(伊藤秀記) お答えします。
特定小型原動機付自転車は、昨年7月の道路交通法の改正により注目され、既存の公共交通と組み合わせた利活用による環境負荷の低減や、歩行が困難な方が抱える不安の解消が期待される移動手段です。しかしながら、その普及には車両の安全性能や歩行者、自動車等との共存に向けた通行空間の整備、利用者のモラル、マナー等、課題が多い状況にあります。一方で、個人のニーズに合わせた移動が可能になることで、ラストワンマイルの移動手段としての普及が見込まれることから、今後もその動向を注視してまいります。
以上でございます。
◆1番(勝股修二) ありがとうございます。
普及に向けた多くの課題から三つ挙げていただきました。
車両の安全性能、歩行者・自動車等の共存に向けた通行空間の整備、利用者のモラル・マナーの三つです。二つ目の通行空間の整備は道路行政の専権的な課題だと思います。私としては、特定小型原付が普及するか否かにおける一番の課題であると考えております。環境が整い普及をしていくことで研究が進み、車両の安全性能は向上していきます。一つ目の課題の部分ですね。モラルやマナーについては、既に改正道路交通法などにより今後の方針が示されていますし、国において今後も検討が進められています。特定小型原付はあくまでも車両であり、車道を走行する決まりとなっていますが、走行速度の違う車両を同じ空間で走らせるというのは、ちょっと問題があるような状況だと思います。
要望として、本市としての専権的な課題である通行空間の整備について御検討いただくよう何とぞお願いいたします。環境に優しく人にも優しいモビリティの普及と、アイコンタクトの取れる笑顔あふれるまちとなることを願いまして、質問事項2を閉じさせていただきます。
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