入居施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設等)における、入居者の実態把握について
◆1番(勝股修二) 大項目2、入居施設等(介護老人福祉施設、介護老人保健施設等)における、入居者の実態把握について質問させていただきますが、私の所属していた医療法人は、訪問診療や訪問看護に重点的に取り組んでおり、特に在宅みとりについては全国的にも先進的に取り組んでおりました。そのような医療法人において、私自身も、利用者さんやその御家族の人生の質の向上を目的に、利用者さんのリハビリテーションに携わらせていただきました。
そこでは多くの方々の人生を見てきましたが、穏やかに過ごされる方、逆に不安な状態で過ごされている方など、様々な要介護状態での生活がありました。そこには、その方がそれまでどのように生きてこられたか、また御家族や御近所の方とのそれまでの関係性というのもあり、様々な要因が作用してまいりますので、皆様が必ず穏やかに過ごすことができるかというと、そういうわけではありません。
しかし、少なくともそれに携わる専門職や行政は、利用者さんや御家族に穏やかな時を過ごしていただくために最大限の努力をしなければならないと考えています。尾張旭をついの住みかに選んでもらえるようなまちづくりを目指すと柴田市長は所信表明にて述べられていますが、高齢者の独居世帯や高齢者のみの世帯が増え続けている現状において、リハビリテーションの場や最後の居場所として、入居施設は今後ますます役割を増してくると考えられます。
コロナ禍において外部との接触が最小限となっていた中、入居施設等における介護従事者等による高齢者虐待の相談、通報件数とその虐待判断件数は、共に全国的に年々増加していると、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果にて報告されています。
そこで、本市における入居施設等における入居者の現状について、項目ごとに質問をさせていただきます。
⑴ 本市の入居施設等における、高齢者虐待の相談、申出件数について
◆1番(勝股修二) 小項目(1)、本市の入居施設等における、高齢者虐待の相談、申出件数についてお尋ねします。
◎健康福祉部長(臼井武男) お答えします。
本市の入居施設等において、高齢者虐待として通報のあった件数につきましては、令和3年度に4件ありましたが、令和4年度はありませんでした。このうち、虐待として認定されたのは、令和3年度の4件のうちの3件でございます。
以上でございます。
◆1番(勝股修二) 御答弁ありがとうございます。
通報については2年間で4件ということでした。このうち虐待認定件数は3件ということで、通報の75%が虐待と認定されたということです。
ちなみに、愛知県の令和3年度の虐待判断件数は41件です。このうち、41件中3件が尾張旭市での事例ということでした。全国的には通報件数のうち虐待の認定率は20から30%ですので、単純には言えないと思いますけれども、75%の認定率ということは、本来通報したほうがいいんじゃないかなという通報と比べて、ちょっと通報が少なかったのかなとも思います。
ハインリッヒの法則ではないんですけれども、虐待の影には一定数の不適切なケアというのが隠れています。不適切なケアには、友達感覚で接したり、子供扱いしたりするとか、プライバシーに欠けたケアとか、頻繁に待たせるというのも最近になって含まれてきておりまして、不適切なケアの定義はここ数十年で大きく変わっております。以前は当たり前のように行われてきたケアでも、時代の変化に伴い、現在では不適切なケアとされています。
私が理学療法士になった頃は、リハビリというのは痛いものだということで、私自身も患者さんにその当時ちょっと痛い思いをさせてしまったこともあったなということを思い出しますが、それが、時代が変わるとともに痛みを伴うリハビリというのは不適切だということになって、痛みを与えるようなことはもう虐待に近いんだよということに現在なっておりますので、本当に私自身が過去に不適切なケアや虐待を行ってしまったかもしれないと思うと、本当反省するとともに後悔しきりでございます。
そのように、悪意はないんですけれども、悪意なく不適切なケアや虐待を行ってしまうということもしばしばありますけれども、虐待の防止には、その前段階である不適切なケアの把握が重要であるとされ、不適切なケアの段階での通報を受ける、発見をしていくということが重要とされています。つまり、先ほど虐待認定率75%ということでしたんで、それ以上にもっと本当は不適切なケアの報告があったほうが、全体像が把握できているんじゃないかなということになります。
⑵ 入居者本人から直接聞き取り調査などで、実態を把握する取組について
◆1番(勝股修二) では、小項目(2)に移ります。
入居者本人から直接聞き取り調査などで実態を把握する取組について。
介護業界に携わる方々というのは本当によい人ばかりなんですけれども、介護従事者自身のストレスや業務負担、また認識不足、先ほど言ったように時代が変わっていることをよく分かっていないとか、あります。思いもよらず虐待や不適切なケアが発生してしまうこともあります。また、ここ数十年で不適切なケアの定義も変わってきましたので、思いもよらず不適切なケアをしてしまうということもあるかと思います。
コロナ禍においては、入居施設では外部との接触が困難な上に、入所をさせてもらっているという入居者と御家族の気持ちによって、実情や実態が表面に出にくいという可能性もあります。新型コロナ感染症も第5類となり、入居施設においての制限もある程度緩和されてきたと思います。そこで入居者が悲しい思いをしないためにも、介護従事者が思いもよらず不適切なケアをしてしまわないためにも、利害関係のない入居施設関係者以外の方が第三者的に聞き取り調査などを行うことはできないか、お尋ねします。
◎健康福祉部長(臼井武男) お答えします。
本市では、新型コロナウイルス感染症の影響により、介護施設等の運営指導に併せて実施しておりました、利用者の虐待や身体的拘束などが疑われる事案がないかを実地で確認する巡視ができなくなったことから、集団指導の場において虐待の通報先や通報ケースについての周知を図っております。
また、入居者本人からの聞き取りとしましては、これまで介護施設などを訪問し、公正中立な立場で利用者などの話を聞き、相談に応じる介護相談員の派遣を行っておりましたが、新型コロナウイルス感染症予防のため、現在は事業を中止しております。
しかし、この介護相談員の派遣につきましては、介護施設等の体制が整い次第、再開したいと考えております。
以上でございます。
◆1番(勝股修二) 御答弁ありがとうございます。
コロナ禍によってかなり制限はされておりますが、運営指導マニュアルに沿って運営指導を実施していただいているということで、非常に心強い思いです。
しかし、関係者からの聞き取り調査だけでは、精神的な虐待や不適切なケアを発見することは困難だと思います。施設の受入れもあるかとは思いますが、まずは介護相談員の派遣による、以前行っていただいていた事業のほう、聞き取り調査などを早急に再開していただければと思います。
一例としてなんですが、オーストラリアでの高齢者入居介護サービスでは、入居施設の介護の質を高める基準を設定して、1年間に1万5,000人以上にインタビューを実施し、施設のランクづけなども行うなどして、行政が率先して高齢者ケアの質的向上を図っています。本市でも、尾張旭市民の皆さんが高齢期を穏やかに過ごせるように、高齢者ケアの質的向上を目的に施設や事業所の指導支援を、指導、支援、並べてありますけれども、とにかく支援のほうを大きくしていただきたいと思います。
それこそ、私自身も本当にあと何十年もすればお世話になる場所です。本当に、そのときにまた自分自身が悲しい思いをしてしまうんじゃないかという不安もあるんですけれども、またその間にも、もう本当に私と今の入居者の間にはたくさん見えますんで、その方々も不幸な思い、悲しい思いをしないように、高齢者ケアの質的向上というのはもうしっかり進めていただきたいと思います。
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