中学校における情報教育について

◆1番(勝股修二) それでは、質問事項2、中学校における情報教育についてに移ります。
 情報技術の発展は目覚ましく、社会の形は大きく変革しつつあります。私たちの子供時代には想像できなかったこと、また夢物語のようなことが次から次へと実現をしてきています。情報技術によって支えられる社会、Society5.0の実現のためにも、情報技術者育成の素地をつくるとともに、国民全体の情報を活用する能力、いわゆる情報リテラシーの向上は急務となっています。
 そのような中、2020年には、小学校でのプログラミング教育が必修化され、2021年より中学校で技術・家庭科でのプログラミングの内容が拡充、2022年より高校で情報Ⅰが新設・必修化されました。2025年には、国立大学での受験科目に情報Ⅰが必須となるなど、情報教育を取り巻く環境も大きく変わろうとしています。
 平成28年9月定例会にて、他会派よりプログラミング教育について質問がありました。それから7年がたち、当時とはプログラミング教育の環境も大きく変わってきています。現在の学習指導要領によると、技術分野「D 情報の技術」の中には、(1)生活や社会を支える情報の技術、(2)ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決、(3)計測・制御のプログラミングによる問題の解決、(4)社会の発展と情報の技術などの項目が含まれており、7年前よりもなかなか高度な内容になっていると感じています。非常に難しそうな内容のカリキュラムなんですが、授業時間は技術分野にて3年間で87.5時間となり、さらに情報の分野に限っていうと、その4分の1で20時間強しか確保されていません。そのような短時間でこれだけの内容を網羅しなければならない、さらにこれが大学受験の必須科目の基礎となってくると、教職員の先生方など現場の御苦労や御心労はいかほどかと拝察いたします。
 情報教育は、これからの社会において非常に重要であると私は考えています。専門の情報技術者にならない方たちでも、ある程度プログラミング的思考を身につけていると、パソコンやスマートフォンなどの基礎的な動き方や操作について理解がしやすく、情報社会における学びやすさも変わってきます。プログラミング思考とは、「ゴールに到達するまでの動きを細かく分解し」、「効率的に動くルートを考え」、「試行錯誤しながら最適なルートを導き出す思考」いわゆる論理的思考、ロジカルシンキングです。情報教科以外の科目においても、学びの効率化をもたらすとともに、日々の生活や仕事においても大いに役立つと考えられます。
 以上のように、情報教育はこれからの社会を生き抜いていく子供たちにとって、非常に重要な分野であり、限られた時間内で効率よく学び、身につけていく必要があります。しかし、教えるほうの立場に立って考えると、非常に新しい学習分野であり、教員養成課程においても情報教育のカリキュラムを習得された方はまだまだ少ない状況かと思います。そのような中、ある調査では、教員の95%がプログラミングの授業に不安を抱えているとされています。
 また、一般社団法人日本産業技術教育学会等による「中学校プログラミング教育の実態調査」では、実施上の課題において、「指導・授業展開の難しさ」や「教員の専門性の不足」を挙げておられる方が少なからずいらっしゃいます。教え方のスキルの差によって情報分野への興味や理解度が変わってしまう、子供たちの将来の可能性が変わってしまう、いわゆる進路可能性格差といったものが、現在、情報教育分野では問題になりつつあります。

⑴ 情報教育を担当する教員のスキルについて

◆1番(勝股修二) そこで、小項目(1)、本市中学校において、情報教育を担当する教員のスキルについて、技術科の先生の情報教育分野におけるスキルの現状についてお伺いいたします。

◎教育長(河村晋) お答えします。
 中学校においては、学習指導要領において、プログラミング的思考を含む情報活用能力を育成していくことができるよう、各教科等の特性を生かし、教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るとともに、議員の御説明にもありましたように、技術・家庭科技術分野の内容の「情報の技術」において指導することを規定しております。
 プログラミング教育が必修化になる以前から情報教育は行われておりましたが、プログラミング教育を実施する多くの教職員は、専門的な技術を学んできた経験がないのが現状でございます。現状においても、GIGAスクール構想により1人1台のタブレット配置、小学校英語教育の導入など、新たな学習が要求されてきております。全ての教科・分野において、児童生徒の学習活動が充実できるよう、教職員は日々研さんを重ねております。
 さらに、市内で開催される研修等では、各自の実践の情報交換をしております。また、学校間で格差が生じないよう教育委員会としましては、ICT支援員、ICT教育支援教員の配置もしております。
 以上でございます。

◆1番(勝股修二) ありがとうございます。
 御答弁にありますように、専門的な技術を学んできた経験がない中、日々の研さんや情報交換会などで学習活動の充実を図られているということで、先生方の日々の御尽力には頭が下がります。
 また、新たな学習を分野横断的に行っていかなくてはいけないなど、常に変化していく激流のような現代社会において、本当に大変なことをお願いしていることは重々承知しております。しかし、激流だと表現したとおり、ここ数十年で情報量は激増しており、日々得ることのできる情報量はべき乗的に増えており、10年間で500倍以上とも言われています。
 一例として、私の大学時代には論文や公的文書などは図書館に出向かなくてはならない、収蔵していないものについては他機関の図書館に問い合わせて、数週間たってやっと手に入るようなものでした。しかし今では、専門的な論文や文書でも、家や職場にいながらにしてすぐに参照をすることができます。このように個人が得ることのできる情報は激増をしていますが、逆に言うと処理しなければならない情報も激増しています。つまり、個人の自己研さんや少人数での情報交換では立ち行かない時代になってしまったのではないのかなとも考えております。

⑵ 学習教材について

◆1番(勝股修二) 小項目2に移ります。
 国語や数学などの一般科目においても、ドリルや問題集などの学習教材を使う、あるいは授業を進めるために教材などを補助的に使用するなどはあると思いますが、情報教育については、本市中学校においては現状どのようなものをお使いでしょうか。小項目(2)、学習教材についてお伺いします。

◎教育長(河村晋) お答えします。
 情報教育で使用する学習教材としましては、知識の習熟を図るため、担当教員が教科書の内容に合わせた教材の工夫を行っております。
 また、プログラミングの技能を身につけるため、基本的なビジュアルプログラミングツールを活用しているほか、教科書会社のホームページに掲載されているプログラミングソフトや専用の超小型コンピューターなどを活用している場合もあります。
 以上でございます。

◆1番(勝股修二) 御答弁ありがとうございます。
 基本的には、教科書に基づいて先生方が工夫をしていただいているということです。また、専用の超小型コンピューターを活用している場合もあるということでした。これは技術分野D(3)計測・制御のプログラミングによる問題の解決において活用している教材だと思います。
 教育現場の現状を考えてみますと、急激に人口が減少していく現代日本においては、とにかく人手が足らない。それは学校教育の現場においても同様で、前回の定例会でもありましたように、慢性的な欠員が出て、常に人手不足に陥っている状況です。また、御答弁にあった基本的なビジュアルプログラミングツールなどは、あくまでも道具であり、道具の使い方を理解してもらうまでの指導案、授業スライド、ワークシートまで教員各自が一から作成をしていく、あるいは1つの市内の学校で作成していくのは、非常に負担がかかる効率の悪いことではないでしょうか。
 これはプログラミングの世界では車輪の再発明と言われています。既にある技術を知らずに、あるいはあえて使わずに、同様のものを再びつくることをやゆした表現なのです。以上のように人手が足りない、時間も足りない教育現場においては、既にある教育手法をある程度活用していくことが教員の負担軽減にもつながるのではないかと考えます。本市教員の皆様の日頃の努力や自己研さんには頭が下がる思いですが、国が提唱するSociety5.0は、情報社会となったSociety4.0よりも知識や情報の共有化が進んだ社会ということです。さきに述べたように、1人あるいは少数の力では、なかなか前に進むことのできない難しい社会になってしまったということかもしれません。

再質問)パッケージングされた学習用教材の導入について

◆1番(勝股修二) そこで、再質問をお願いします。
 情報教育の分野においては、指導案、授業スライド、またプログラミングのコーチング、ワークシートや生徒それぞれの習熟度管理まで全てパッケージ化された学習教材が開発をされてきています。ライフイズテックという教材については、全国で180の市区町村が全校の導入を推進しており、愛知県ではあま市、蒲郡市、日進市、半田市が市内全中学校に導入あるいは試行中であるということです。そのほかにもプログル技術やNOAZOCSという教材があるようですが、それらのようなパッケージングされた学習用教材を本市中学校に導入して、プログラミング教育をさらに充実していただくことはできませんでしょうか、お伺いをいたします。

◎管理指導主事(伊藤和由) お答えいたします。
 市内で統一したプログラミング教材を購入する予定はありませんけれども、他市の状況を調査し、研究を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◆1番(勝股修二) 御答弁ありがとうございます。
 調査、研究をしていただけるとのことでした。
 教育は子供たちの未来をつくる大事な取組であることは、皆さん御異議ないと思います。そこにはきれいごとではなく、どれだけ投資をしていくかということも非常に大きな要素だと思います。本市の子供たちの未来をつくっていくために、また教育に力を入れている市であることを内外に発信することで、子育て世代、マイホームを建てて長く住んでいただける方々に尾張旭市を選んでいただくためにも予算関連の御配慮も何とぞよろしくお願いいたします。

Follow me!


かつまた修二公式ページをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です