フレイル(虚弱)の状態にある方の把握とフレイルから脱却するための取組について
◆1番(勝股修二) ただいま議長よりお許しがありましたので、通告に従い順次質問をさせていただきます。
愛知維新の会尾張旭市議団の勝股修二です。とうとうというか、やっとというか、もうというか6回目の質問になります。本当に毎回ちょっとへとへとになりながらやっているんですが、まだまだ新人ですので、6回目ということでまだまだ不手際があるかと思いますけれども、何とぞ御容赦ください。よろしくお願いいたします。
⑴ フレイル状態にある方をどのように見つけているか
◆1番(勝股修二) それでは、質問事項1、フレイル(虚弱)の状態にある方の把握とフレイルから脱却するための取組について質問をさせていただきます。
フレイル予防については、これまで何度も議会において取り上げられており、注目度の高い社会課題となっています。過去の質問において、フレイル予防に対して本市が認識している課題の一つに、外出機会の少ない高齢者への対応が難しいということがありました。これはまさに予防の現場にいて私自身が直面した問題でもありましたが、本市においては地域包括支援センターの地域相談窓口が行っている実態把握調査を活用し、いろいろな場への参加促進や配布物などにより、フレイル予防の意識啓発などを行ってきたということでした。
これらにより、御本人の気づきや地域の目でフレイル予防やフレイルになってしまった方の支援につないでいければと思いますが、それでも届かない方への対応、体制づくりも必要であると考えます。
これまで何度も議場において確認されてきましたが、フレイルという言葉の意味について再確認をさせていただきます。フレイルとは病気ではないが、年齢に伴い心身の活力が低下した健康と要介護の間の虚弱な状態と言われています。フレイルとは可逆的な状況であり、対応によっては、健康な状態に戻すことができると言われています。
これまでフレイルとならないための予防については多くの御答弁をいただきましたが、フレイルとなった方への介入についてはあまり議論をされてきませんでした。そこで、まずはフレイルの可能性がある方を把握するための体制についてお伺いした後、フレイル状態にある方を健康な状態に戻すための方策についてお伺いしていきます。
小項目(1)、フレイル状態にある方をどのように見つけているかに入ります。フレイル予防については、これまでの御答弁において、介護予防教室、健康づくり教室などで対応されてきたとのことでしたが、フレイル状態にある方を見つけるための取組についてお伺いします。
◎健康福祉部長(臼井武男) お答えします。
平成29年に厚生労働省から示された新しい介護予防事業の一つに、何らかの支援を必要とする者を把握し、介護予防活動へつなげる介護予防把握事業があり、本市ではそれに相当する事業として、元気まる測定やあたまの元気まるに取り組んでおります。
また、そのほかにも地域相談窓口による実態把握のための訪問や、民生委員・児童委員による実態調査、さらに、理学療法士が地域活動の場に出向く地域リハビリテーション活動支援事業において、簡単なフレイルアンケートを実施するなど、フレイル状態にある方の把握に努めているところです。
以上でございます。
◆1番(勝股修二) ありがとうございます。
様々な取組をされているということです。しかし、活動の場に出てこられる方はほぼ問題ないのではないでしょうか。やはり、大事なのは御答弁いただいた民生委員さんによる実態調査や、地域相談窓口による実態把握などの実際にお会いして確認するものではないでしょうか。
⑵ 民生委員と地域包括支援センターの関わりについて
ア 協働体制の現状について
◆1番(勝股修二) そこで、小項目(2)、民生委員と地域包括支援センターの関わりについてに入ります。
本年3月定例会の一般質問において、民生委員の方々に70歳以上の独り暮らし高齢者及び高齢者のみ世帯を訪問していただく、高齢者世帯等実態調査を行っていただいているとの御答弁があり、令和5年度の調査結果では、高齢者の独り暮らしあるいは高齢者のみ世帯数は、合計5,525世帯であるとのことでした。
民生委員さんは本市には131名いらっしゃいますので、お一人当たり平均で42世帯あまりを担当されていると推測されます。民生委員さんにはこれ以外にも低所得者の自立更生の援護、高齢者、障がい者、児童、母子・父子家庭などの福祉の向上、福祉事務所への協力など多くの役割があります。地域包括支援センターの地域相談窓口においても、高齢者実態把握調査をされているということですが、こちらは市内を三つの地域に分け、それぞれをブランチで担当されているということで、本市の65歳以上の高齢者人口は令和6年7月時点で2万2,140人、後期高齢者のみでも1万2,987人ですので、単純計算でも、4,000人から7,000人の高齢者をそれぞれのブランチで担当されているということになります。通常の相談業務とともに並行して調査を行われているということになります。
そこで、高齢者世帯等実態調査と高齢者実態把握調査という性質の似た取組を行っておられる民生委員さんと地域包括支援センターの間に情報の共有や業務の分担はありますでしょうか。
ア、協働体制の現状についてお伺いをします。
◎健康福祉部長(臼井武男) お答えします。
民生委員・児童委員による高齢者世帯等実態調査では、70歳以上の独り暮らしの方や高齢者のみの世帯を対象に日常生活の状況や緊急連絡先などを確認していただいております。一方、地域相談窓口で行っている高齢者実態把握調査では、民生委員・児童委員が訪問調査をした高齢者以外で、介護サービスを利用されていない高齢者を訪問するなど、対象者が重複しないよう分担しております。
また、個別の案件としましては、民生委員・児童委員や地域の方が高齢者の異変などに気づいた場合、行政や地域包括支援センターにその都度連絡いただくこともあります。連絡いただいた案件につきましては、市の担当課と地域包括支援センターが連携して詳細を調査し、対応の必要性を判断しております。なお、調査結果等につきましては、民生委員・児童委員にも可能な範囲で報告するなど、民生委員・児童委員、地域包括支援センター、行政の3者間で必要な情報共有を図っております。
以上でございます。
◆1番(勝股修二) ありがとうございます。
対象者が重複しないように分担をされているということです。また、必要な情報共有を図っておられるということで、今後もさらなる協力、協働をしていただけますようよろしくお願い申し上げます。
イ より効率的な協働体制の構築について
◆1番(勝股修二) 今後高齢者人口が増えていくと推計されており、令和22年には本市の高齢者人口は2万6,500人を超えると予想されています。さらに、無縁社会と言われるように、高齢者世帯あるいは高齢者の独り暮らし世帯はこれからどんどんと増えていくと予想されています。地域における相談体制は、今後担い手の負担が増えることが予想されますが、限られた資源でフレイル状態にある方をより早期に見つけていくためには、より効率的な協働体制が必要になると考えられます。
そこで、イ、より効率的な協働体制の構築についてお伺いをします。
◎健康福祉部長(臼井武男) お答えします。
先ほど高齢者の実態調査及び実態把握調査における分担・協働についてお答えいたしましたが、それらの調査以外においても、フレイルに限らず、民生委員・児童委員からの連絡によって、介護や医療などの支援が必要になるケースが発見され、見守りから一歩進めた地域包括支援センターなどの専門的な機関へつなぐことも行っております。今後ますます高齢化が進む中、高齢者に係る諸問題に対応していくためには、長年その地域で暮らしている民生委員・児童委員だからこそ得られる情報を地域包括支援センターへつなげるといった相互に連携した取組がより重要となります。そうした連携の強化、より効率的な協働が行えるよう本市行政が両者のつなぎ役、潤滑油の役割を果たしてまいりたい、そのように考えております。
以上でございます。
◆1番(勝股修二) ありがとうございます。
本市行政が両者のつなぎ役、潤滑油の役割を果たしていくという非常に心強い御答弁をいただきました。厚生労働省の文章にありますとおり、高齢者の尊厳と自立した日常生活を地域で支えていくためには、市町村が中心となって医療・介護専門職がより専門性を発揮しつつ、高齢者や多様な主体を含めた地域の力を組み合わせるという視点に立ち、地域をデザインしていく必要があるということが書いてあります。今後も協働体制の構築に向け、積極的な働きかけをお願いいたします。
⑶ フレイルを見つけるための最新技術導入について
◆1番(勝股修二) それでは、小項目(3)に入ります。
ここまでは既存の社会資源を活用していかにフレイルを見つけていくかについてお尋ねしました。ここからは、新しい手法を用いたフレイル検知についてお伺いをしていきます。
4月19日の中日新聞朝刊において、AIフレイル検知導入自治体拡大と題した記事が載っていました。記事を一部抜粋させていただきますが、各家庭に既に設置されている電力スマートメーターを利用し、住民の同意を得た上で30分ごとに電気利用量を計測、フレイルや健康な人の電気使用量のパターンを学習した人口知能、AIで分析をし、フレイルかどうかを推定すると。結果は自治体に通知され、早期のフレイル把握や支援につなげてもらうということで、その制度はAIがフレイルと推定した方の83%は実際にフレイルであったということでした。
私自身が直面した問題であったことから、もういても立ってもいられず、中部電力さんにも急にアポをとってちょっと飛び込みで行ってきたんですけれども、そうしたところ、本市では既に試しで使わせていただいているということをお聞きしまして、愛知県主催のあいちデジタルヘルスプロジェクトにおける産官学の連携研究である「おひとりさまシニア生き活きプロジェクト」にて体験をさせていただいているということです。
そこで、小項目(3)、フレイルを見つけるための最新技術導入について、実際に体験して得られたことや、そのほかのシステムも含めて、今後の導入可能性の見通しについてお伺いをします。
◎健康福祉部長(臼井武男) お答えします。
議員に御紹介いただいたとおり、現在デジタル技術を活用して産官学が連携し、健康寿命の延伸と生活の質の維持・向上を目指す、あいちデジタルヘルスプロジェクトが愛知県事業として実施されております。このプロジェクトの一環として、名古屋鉄道、中部電力、名古屋大学及び本市が参画し、ツアー、健康測定、フレイル予防サービスという実証実験、社会実装を行います。これは独り暮らしの高齢者にふだんどおりの生活を送っていただき、電力スマートメーターから収集した電力使用データをAIが解析しフレイルリスクを検知できる取組です。本市はこの実証実験に御協力いただける独り暮らしの高齢者100人の選定を担っており、当該事業の成果は本市にもフィードバックされることから、本市の今後のフレイル対策等に役立てていけるものと期待しております。
以上でございます。
◆1番(勝股修二) 御答弁ありがとうございます。
県の事業として検証をさせていただいているということで、非常にありがたい状況であると思います。フレイルには数か月もあれば陥ってしまいます。人による低頻度の訪問ではなかなか把握することは困難です。要望として、この検証結果を基にフレイル発見のための最新技術の導入についてぜひ御検討をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
⑷ フレイルから脱却するための取組の現状について
◆1番(勝股修二) では、小項目(4)に移ります。
冒頭でお伝えしたとおり、フレイルは健康な状態に戻すことが可能ということで、小項目(4)、フレイルから脱却するための取組の現状についてお伺いをします。
◎健康福祉部長(臼井武男) お答えします。
フレイルから脱却するための取組につきましては、介護予防サービスの一つとして、訪問型と通所型の短期集中予防サービスを実施しております。これはフレイル状態の方に3か月間集中的に理学療法士などの専門職から健康相談や運動実技指導などを受けていただくものです。特に通所型サービスである元気教室では、御自宅からの送迎があり費用も自己負担なしで参加していただけます。フレイルの状態にある方に気兼ねなく参加していただけるような体制で、現在の定員は1クール9名、年間3クールで1クール当たり12回の教室で実施しております。令和5年度は計25名の方に御参加いただき、握力や片足立ちなど5種目の体力測定において全て改善された、または維持という結果が出ていることから、この取組はフレイルからの脱却に資するものであると考えております。
以上でございます。
◆1番(勝股修二) ありがとうございます。
こちらは総合事業の訪問Cや通所Cなどの短期集中予防サービスになると思うんですが、この短期集中予防サービスは報酬や送迎などの問題により、なかなか提供していただける事業者があまりいないなというのが、私が理学療法士として働いていたときの印象なんですけれども、本市ではもう既にしっかりと実施をされていて、これまた自己負担がないというところが、これ結構本市のすごいところで売りになっているかと思います。他市と比較しても本当にしっかりとフレイルからの脱却に取り組まれているというふうに感じております。これからもぜひよろしくお願い申し上げるとともに、提供事業者の方にも感謝を申し上げたいと思います。
⑸ フレイルから脱却するためのシニアカーについて
それでは、小項目(5)、フレイルから脱却するためのシニアカーについてお伺いをしていきます。
フレイルの診断基準の一つに改定日本版フレイル基準というものがあり、その1項目に通常歩行速度が毎秒1メートル未満という評価基準があります。信号のある横断歩道を安全に渡り切るには、一般的に歩行速度を秒速1メートルとして調整されています。ですので、フレイルの方は信号のある横断歩道を渡るのが非常に大変というか渡り切れない可能性があるという方ですね。
また、疲労を感じやすい状態であるということも評価基準になっており、フレイルの方は外出自体が非常に大変であることが分かります。
ア 普及状況について
◆1番(勝股修二) そこで、フレイルの方が無理なく外出する手段として、非常に有用であるのがシニアカーです。ア、普及状況についてということで、こちらは販売数の把握は難しいかと思いますので、介護保険においてのレンタル実績をお伺いしようかと思います。お願いします。
◎健康福祉部長(臼井武男) お答えします。
介護保険上シニアカーは車椅子の種目に該当するため、シニアカーだけの台数は把握しておりませんが、本年6月時点で介護保険を利用して車椅子の貸与を受けておられる件数は450件です。
答弁は以上でございます。
◆1番(勝股修二) ありがとうございます。
シニアカーのみは把握をされていないということでした。介護保険において、シニアカーは車椅子に分類されて、軽度者と分類される要支援、要介護1の方は原則介護保険の給付対象外とされています。しかし、シニアカーは1人で外出するための手段であって、玄関から止めてあるところまで自力で移動する能力や、歩行者や自転車、自動車が混在する公共交通環境において、安全を確保するための判断能力を必要とします。車椅子に含まれる介護用車椅子と自走式や電動車椅子、シニアカーはそれぞれ目的や効果が全く異なるものです。
イ 介護保険における例外給付について
◆1番(勝股修二) 私のこれまでの経験上、シニアカーは要介護2以上の方には使用が困難な福祉用具であり、軽度者こそその本領を発揮するものです。そのため、客観的あるいは市町村の判断で介護保険の給付を受けられる制度が例外給付となりますが、イ、介護保険における例外給付について現状をお伺いします。
◎健康福祉部長(臼井武男) お答えします。
シニアカーについては購入した場合ではなく、貸与を受けた場合に介護保険の給付対象となります。また、原則として要介護1以下の方のシニアカー貸与については保険給付の対象とはなりません。ただし、対象の方が介護認定調査結果において歩行が困難とされている場合や、主治医とケアマネジャーが車椅子の貸与が必要と認め、本市に届出があった場合は例外給付として保険給付の対象としております。
以上でございます。
◆1番(勝股修二) ありがとうございます。
これ実を言うと以前は尾張旭市はなかなか例外給付が認められづらいというような話をいろんなそこかしこで聞いておったんですが、最近はシニアカーの適応がある方、例外給付として認めるべきであるという利用者さんに対しては、もう本当にしっかり認めていただいているということで皆さん大変喜んでおられました。
ただ、シニアカーのレンタルは、安いもので月額1万5,000円前後から、高いものは2万4,000円程度になって、保険者としての負担は、保険者尾張旭市の介護保険の保険者としての負担は、1台当たり年間15万円から25万円前後となり、長期に使用することがもともと想定される福祉用具なものですから、介護保険の持続性を考えるとレンタル以外の方法も検討をしていく必要があると考えます。また、軽度者とされる方としても、給付限度額、介護保険の給付限度額を考えるとレンタルしにくい福祉用具となります。それ以前にフレイル状態の方は要介護認定では自立と判断される方も多く、介護保険給付自体が受けられません。まさに支援のはざまにある方々です。
ウ 購入補助金について
◆1番(勝股修二) そこでシニアカーの有用性を認めた自治体では購入補助を行っています。愛知県では田原市のみの1市のみとなりますが、田原市では運転免許証を返納しやすい環境づくりを推進するために、購入費用の3分の1、上限10万円として補助金を交付しています。そこでフレイルから健康な状態に戻るための取組として、シニアカーの購入補助金について提案しますが、いかがでしょうか。購入補助金についてお伺いをします。
◎健康福祉部長(臼井武男) お答えします。
フレイルを誘発する閉じ籠もりの予防や高齢者の外出支援策の一つとしてシニアカーの有効性は認められるものの、その購入については介護保険の保険給付対象にはなっておりません。現時点ではシニアカー購入に対して補助金を交付している自治体が少ない上、運転免許証を保有していない方との整理すべき課題もあることから、本市独自の補助金交付は考えておりませんが、シニアカーの今後の普及状況などについては、注視してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆1番(勝股修二) ありがとうございます。
補助金については現状では考えておられないということですが、シニアカーの有効性について認めていただいた上で、状況については注視をしていただくということで、外出や移動が困難な方にとってシニアカーは本当に非常に有用であると私は考えます。ただ、現在の道路事情ではシニアカーなどで安全に移動できるとはちょっと言えない状況なのかなとも思います。
そこで、次の質問事項に移っていきたいと思います。
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